おいもの里の村長日記

京都府南丹市でおいも栽培に務める若手農家の日記

農業を救うのは企業参入か

どうも、こんにちは。

吉田です。

本日から年末年始休みを頂き、自宅えゆっくりと溜まったゲームをしたり本を読んだりしてゆったりと過ごしています。

さて、本日は農業の企業参入について書いていこうかな。

一応僕は民間企業での農業も経験があるので、その経験談からも色々論じていきます。

 

1.昨今進む、農業の企業参入と問題点

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さて、まず、なぜ昨今農業の企業参入が増えてきているのでしょうか。

例をあげるとすると、イオンやオリエンタルランドなんかが良い例ですね。到底一農家では扱うことのできない規模感もさることながら、各地に畑を持っているのが起業参入農業の特徴。

企業参入が増えた理由は、今よりもずっと農業がやりやすくなったということにあると思います。

もちろん、それは地主が農業をやめて、土地を手放しやすくなったということもありますが、何よりも農業機械の発達によって、薄利多売ができるようになったのも理由の一つです。

 

国の方針としては、最早そういう大企業の参入に頼らなければ農地を守っていけなくなるといのが現状です。

しかし、前の記事にも書いた通り、果たして企業参入が恒久的にその地域の農業を守ってくれるのか、それについては疑問が浮かびます。

 

企業は利益にならなくなったら案外簡単に事業を切り離します。これが物凄く恐ろしいのです。

急に手放された農地は次、誰が管理をするのでしょうか。

僕自身、これを危惧して農業の企業参入に対し、危機感を抱いています。(もちろん、企業参入には多くのメリットもあることは承知の上です。)

 

2.企業へ就農するという閉じられた担い手育成

僕が一番農業の企業参入において、最も問題としているのはこれです。

実は、先日密かに一般向けにアンケートを取ってみたのですが・・・。

その内容がこちら。

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なぜ、農業をする人がどんどん少なくなっているのか、如実に結果として表れていると思います。

やっぱり、安定した収入源がないイメージなんですよね、農業は。

少なくとも、今時の若者は月一に給料が数十万入ってくるというのが一般的で、ほとんど年俸制に近い農業という働き方は肌に合わないのかもしれません。

 

しかし、土に触れたい、農業をしてみたいと思う若者も多いのは確かです。

そんな就農希望者の安定した受け皿になれるのが企業。

 

企業就農の場合は月一で給料が入ってきますし、その年の豊作不作、市場価格の暴落も関係なく、安定した収入を得ることが可能です。

 

一見すると、いいじゃないか!っという話なのですが・・・。

これってめちゃくちゃ閉じられた担い手育成なんです。一企業が農家を創り上げ、一企業が担い手を独占してしまい、地域には回らない。

 

実際、5年ほど現場でキャリアを積めば、出世してからほとんど農機にも土にも触らないっていう人が多数いらっしゃいます。

実働はパートや平社員任せ。

 

いや、企業としてのやり方はいいんですよ、それで。現場を経験して、マネージャーになれば現場をしなくなるのは当たり前です。

しかし、農業という広い目で見た時、果たしてどうか・・・?という話なんです。

 

もちろん、独立就農を支援している会社もありますが、結局独立してからも会社との癒着は免れなかったりするようですしね・・・。

 

3.原点回帰こそが農業を救う

さて、まとまらなくなって来たので、まとめましょう。

12月16日の日本農業新聞を少し引用します。

www.agrinews.co.jp

ここでは、個業としての農業がまた主役として躍り出るということが書かれています。

人の口に入り、人々の台所を守る農業が利益第一主義では確実にいつか無理が出てくるでしょう。

食っていくことももちろん大事ですが、農業は、自分や利益よりもまず顧客の幸せと安心を重視した、「利他的」な考え方が大事になってくるのかもしれません。