おいもの里の村長日記

京都府南丹市でおいも栽培に務める若手農家の日記

水田でさつまいもはできるのか?

どうも、みなさんこんばんは。

ちゅーとです。

本日は協力隊のお仕事で南丹市美山町へ。

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京都府南丹市は府内の自治体の中でも面積が広く、端から端まで行こうとすると軽く1時間半くらいはかかります。

 

美山の畑までは僕の家から大体40分ほど。

まぁ、少し効率は悪いですかね。

 

さて、本日は協力隊になった時からよく言われる、「水田や粘土でさつまいもができるの?」という質問に対し、お答えしようかなと思います。

 

1.水田でさつまいもを作るのは難しい。

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経験から言わせてもらうと、水田や粘土質の畑でさつまいもを作るのはめちゃくちゃ難しいです。

そもそもさつまいもは田んぼにするには水はけが良すぎたり、保肥力の乏しい畑で栽培されます。

 

例をあげると、鹿児島や茨城、徳島。

鹿児島はシラス台地、茨城は赤土、徳島は海砂と、どれも排水性がめちゃくちゃ良い土壌に恵まれています。

未だにこれらの地域で米を作るということは中々ないですが、肥料技術の発達した昨今、こういう水はけの良く、保肥力のない土壌の方が野菜作りには良いとされています。

 

逆を言えば、畑地転換をする上で、さつまいものみならず、どのような野菜を育てても非常に難しいというわけです。

粘土質土壌で育つ作物と言えば里芋くらいじゃないでしょうか?

 

2.対策①高畝にして排水性を確保

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コガネセンガンという白芋です。

難しいと言っても不可能というわけではありません。

しっかりと対策さえすれば、美味しくて形の良いさつまいもが出来上がります。

 

一番手っ取り早い方法は高畝にすることです。

さつまいものみならず、根菜類は作土層を広くとってやることが重要です。大根でも高畝栽培する方がいるほど。

 

高畝にすれば、不定根が広がっていける柔らかい土の面積をとってやれるだけでなく、なによりも畝間に水を逃がしてくれるので排水性が抜群によくなります。

 

もし、野菜作で水分による根腐れや土壌障害に困っている方がいらっしゃれば、高畝栽培、おすすめですよ。

 

3.対策②長い目で見て土壌改良

あとは長い目で見て土壌を改良していく他ないですね。

手っ取り早いのは機械を入れることです。

 

暗渠は即時効果が期待できますが、手間も費用もかかるのであまりおすすめできません。

野菜作の場合だとプラソイラが最も良いでしょう。

 

プラソイラは耕盤破砕と天地返しを同時に行ってくれる上、トラクターに付けて走らせるだけなのでめちゃくちゃ簡単。

もちろん、結果がすぐにでるわけではないですが、排水性の改善にはもってこいです。

 

他にはもみ殻や堆肥をいれるということです。

僕はこれを今年はやっていますね。

 

特に堆肥は牛糞か、できればバーク堆肥など、栄養分がまったくない堆肥を入れます。同じ堆肥と言っても、豚糞や鶏糞は土壌改良効果があまり期待できません。

また、生のもみ殻を入れることについては、土壌で分解される際、窒素障害を起こすのでやりたくないという方もいるかもしれません。

 

でも、さつまいもの場合は大丈夫。

なにせ、さつまいもは窒素分をあまり必要とせず、窒素固定を行える作物なので、生もみ殻による障害は起きにくいのです。

 

5.まとめ

このような感じで、水田の畑地転換は政府が進めている施策ですが、結構長い目を見て行わなければなりません。

大体収量が安定してくるのは短くて3年待たなければならないでしょう。

水田の畑地化と利活用は協力隊としての僕のミッションの一つですので、任期期間中をフルに使い、挑戦させていただきます!